法定利率に係る変動制の採用(改正民法404条3項,419条1項)
改正の内容
現行民法では法定利率は年5%の固定利率とされ,また,商行為によって生じた債務に関する商事法定利率は年6%の固定利率とされていました(現行民法404条,現行商法514条)。
改正民法では,債権法改正時に年3%へと引き下げられた上で,以後3年ごとに市中の金利動向に併せて利率を見直す変動制を採用し(改正民法404条3項),また,それに伴い,商事法定利率は廃止されることとなりました。
なお,法定利率に係る変動制が適用されるのは,①利率の定めのない利息だけでなく,②金銭債権の不履行による遅延損害金も含まれます(改正民法419条1項)。
契約書作成の留意点
債権改正後に,利息や金銭債務不履行時の遅延損害金の利率を定めない場合には,市中金利の変動に注意を払う必要が生じます。
もっとも,法定利率に関する改正民法の規定は,利息や金銭債務不履行時の遅延損害金の利率を定めない場合に適用されます。
したがって,法定利率の適用を避けるには,契約書において,従来どおり,利息や金銭債務不履行時の遅延損害金の約定利率を定めておけばよく,この点は従来と変わりません。