婚姻費用とは
婚姻費用とは、夫婦および未成熟子を含む婚姻共同生活を営む上で必要な一切の費用をいいます。衣食住の費用はもとより、医療費、娯楽費、交際費、老後の準備(預金や保険)、さらには未成熟子の養育費と教育費などが含まれます。
具体的に婚姻費用をどのように分担するかは、まずは夫婦間の合意により決められますが、夫婦間の協議が調わない場合には、家庭裁判所の調停・審判によって分担額が決定されます。
婚姻費用とは、夫婦および未成熟子を含む婚姻共同生活を営む上で必要な一切の費用をいいます。衣食住の費用はもとより、医療費、娯楽費、交際費、老後の準備(預金や保険)、さらには未成熟子の養育費と教育費などが含まれます。
具体的に婚姻費用をどのように分担するかは、まずは夫婦間の合意により決められますが、夫婦間の協議が調わない場合には、家庭裁判所の調停・審判によって分担額が決定されます。
その計算式については、前回のコラムをご参照ください。標準算定方式に基づく簡易算定表は、裁判所のホームページをご参照ください。
高額所得者の婚姻費用の計算は難しい
算定表上、権利者及び義務者の年収の上限は、給与所得者は2000万円、自営業者は1567万円となっています。
夫婦の一方または両方の総収入がこの上限を超過している場合を、高額所得者といいます。
高額所得者の場合、標準算定方式を用いて計算することができません。
では、高額所得者の場合、どのように婚姻費用を算出するのでしょうか。
本コラムでは、事例に応じて、4つの計算方法(考え方)をご紹介します。
高額所得者の計算方法について
①上限頭打ち方式
標準算定表の上限年収(給与所得者2000万円、自営業者1567万円)で婚姻費用を算出するという方法です。
標準算定表の上限年収を超えた部分の収入は、資産形成にあてられているという考え方をします。
なお、この方法を用いるのは、上限年収を超過する金額が「500万円程度までが目安」と指摘されています。
②基礎収入割合修正方式
事案に適した基礎収入割合を設定し、標準算定方式を使って婚姻費用を算出するという方法です。
標準算定方式は、基礎収入(総収入から控訴公課や職業費等の必要不可欠な出費を控除した残額)を元にして婚姻費用の金額を計算します。基礎収入は、総収入に年収に応じた基礎収入割合を掛けることで算出できます。
年収が、標準算定方式の上限金額未満の場合に使う基礎収入割合を修正して算出することから、基礎収入割合修正方式と呼ばれています。
③貯蓄率控除方式
基礎収入を算定する際に、貯蓄に回す金額を控除し、標準算定方式を用いるという方法です。高額所得者は、標準算定方式が想定する年収の方に比べ、貯蓄や資産形成に回す金額が高いという特徴があります。この特徴を基礎収入の計算に反映させるという考え方です。
④フリーハンド算定方式
標準算定方式を用いず、同居中の生活水準を維持することを前提として、必要な金額を定めるという方法です。
毎月一定金額をもらっていた場合は、別居後もこの金額を引き続きもらうというものです。なお、この場合は、別居後に生じる住居費が反映されていないため、住居相当額を加算する必要があります。
最後に
高額所得者の婚姻費用は、専門家でなければ適正な金額を算出することは難しいと言えます。
お悩みの方は、弊所までご連絡いただけたらと思います。